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IEEE802.15.3cミリ波WPANの標準化最新動向
i. WPAN (Wireless personal area network)の標準化がIEEE802.15.3cで活発に行われ、本年には完了予定である。目標とするWPANの電波免許不要な周波数帯域は7 − 9 GHzであり、米国では57 − 64 GHz, 日本では59 − 66 GHz, ヨーロッパの特定領域では57 − 66 GHzが利用可能である。この周波数帯の無線通信システムを設計・標準化するためのタスク・グループ(TG3c)がIEEEにIEEE802.15.3cとして2005年3月設立された。以来、無線チャネルの設定、伝播特性の明確化・チャネルモデルの生成、使用モデルの生成、物理層の提案と膨大な特性シミュレーションが行われ、商用可能なレベルのシステム設計が行われている。グローバルに採用されたチャネル化は9 GHzを4チャネルに分割し、異システム間の干渉軽減に効果を発揮するとともに、PHYとしてはそれぞれのサービスを効率よく提供するために3種、シングルキャリア(Single carrier), 高速インタフエース(HSI) OFDM, オーデオ・ビデオ(AV)OFDMが採用され、チャネルあたり最大約5.5 Gbpsの超高速信号を最大10 mまで伝送する。
本プレゼンテーションはIEEE802.15.3cの最新の標準化活動を時間的な進捗、結果、本標準化の特徴等の観点から概括し、60 GHzを使用するIEEEの他のタスク・グループ、他のSIG (Special interest group)の活動にも言及する。
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情報通信研究機構 プログラムコーディネーター
東北大学 電気通信研究所 教授
加藤 修三 氏 |
1977年東北大学大学院工学研究科博士課程卒(工博). 1977年NTT研究所勤務(~1995年)。パーソナル、衛星通信コアー技術の研究開発、TDMA装置、変復調、誤り訂正方式およびそれらのASIC化で世界をリード。世界初のTDMAチップセット(1986)、世界最高速ビタービ復号器(1987, 1993), 世界最小消費電力ADPCM(1994), 世界発の2V動作CMOS SOC によるPHSベースバンドチップの開発(1994)・実用化等を含む 39品種のASICをリワーク無しで開発。1995年パシフィック・コミュニケーションズ・インク設立。1997年ユニデンKK社長。1998年MWCI(Mitsubishi Wireless Communications Inc., USA)移動通信開発センター社長、1999年MWCI代表取締役副社長。米国にてIS-136(第2世代携帯電話)用ベースバンドチップ, 携帯電話の開発, 全認証(FCC, CTIA, IOT(Inter operability test)の取得および製造に従事。2001年Omni Wireless Inc. 設立(米国カリフォルニア)。2002年テラダインKK日本事業部長、2003年同代表取締役副社長。
現在、東北大学電気通信研究所教授、(独)情報通信研究機構プログラム・コーデネータ(Ubiquitous mobile communications)として無線通信一般、特にミリ波通信の研究開発に従事。また、IEEE802.15.3cタスク・グループVice Chair, ミリ波標準化国際コンソーシアムCOMPA (Consortium of Millimeter Wave for Practical Applications) Chairとしてミリ波技術・ビジネスの推進に従事。現在まで、200件超の学術論文を発表・75件以上の特許を取得し(1998年に米国DOD(防衛省)標準となった特許を含む)、PIMRC(Personal, Indoor and Mobile Radio Communications) Symposiumのコファンダー(Co-founder)でもある。IEEE Fellow, IEEE編集委員(Trans. On COM), IEEE Satellite & Space 通信委員会Chairを歴任, 電子情報通信学会フエロー、元電子情報通信学会編集理事。
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